明治大正埋蔵本読渉記

明治大正期の埋もれた様々な作品を主に国会図書館デジタル・コレクションで読み漁っています。

2024-08-01から1ヶ月間の記事一覧

『紅太郎捕物帳』 土師清二

紅太郎捕物帖:土師清二 1948年(昭23)高志(こし)書房刊。 1951年(昭26)桃源社刊。 土師清二は昭和初期から戦中、そして戦後にかけて息の長い作家活動を続けた。特に戦後の捕物帳ブームの火付け役となった捕物作家クラブの副会長として(会長は野村胡堂…

『鹿鳴館』 富田常雄

鹿鳴館:富田常雄 1946年(昭21)8月~11月、雑誌「りべらる」連載。 1951年(昭26)講談社刊、「猿飛佐助」(講談社評判小説全集第5)所収。 1955年(昭30)平凡出版刊、「薔薇の紘道館」(平凡映画小説シリーズ)所収。 1964年(昭39)双葉社刊、「明治の…

『八百屋お七恋廼緋鹿子』 翁家さん馬

八百屋お七恋廼緋鹿子:翁家さん馬 1893年(明24)駸々堂刊。 (こいのひがのこ)明治中期には円朝をはじめとする口演速記本が人気を呼んでいた。翁家さん馬(おきなや・さんば)も江戸時代から続く落語家の名跡で、この時期は5代目さん馬の盛期に当たる。…

『虹は消えない』 大庭さち子

虹は消えない:大庭さち子 1950年(昭25)1月~12月、雑誌「富士」連載。 これもNDLデジタルで戦後雑誌(一部)の閲覧・通読が可能となって読むことができた作品だった。大庭さち子(1904~1997)は戦中期の作品もあるが、戦後特に少女小説の分野で旺盛に活…

『振袖地獄』 角田喜久雄

振袖地獄:角田喜久雄 1955年(昭30)1月~12月、雑誌「小説倶楽部」連載。 1955年(昭30)同光社刊。 振袖地獄:角田喜久雄、志村立美・画 作者の得意とする「伝奇物」の一つと言ってしまえば簡単だが、「過ぎたるは及ばざるが如し」というのか、「奇」をて…

『バス通り裏』 筒井敬介・須藤出穂

バス通り裏:筒井敬介・須藤出穂 1959年(昭34)くろしお出版刊。 戦後のテレビ放送初期の頃制作された連続ホームドラマの小説化本である。放送は1958年4月から丸5年間の長期にわたり、当時は絶大な人気を博していた。小説化は放送開始後1年半での1冊のみ…

『世界風流艶笑譚』 石井哲夫(風流隠士)

世界風流艶笑譚:石井哲夫 1950年(昭25)4月~1951年(昭26)12月、雑誌「富士」連載。 1955年(昭30)妙義出版刊。(スマイル・ブックス) 世界風流好色譚:沢田正太郎・画1 当初「富士」連載のタイトルは『世界風流好色譚』となっていた。好色譚という面…

『地上の星座』 牧逸馬

地上の星座:牧逸馬 1932年(昭7)5月~1934年(昭9)5月、雑誌「主婦の友」に連載。 1934年(昭9)新潮社刊。 「丹下左膳」の作者として有名な林不忘は、牧逸馬という別の筆名を使って昭和初期の現代小説家として多様なジャンルを跨いだ言わば「天衣無縫な…

『清吉捕物帖』 三好一光

清吉捕物帖:三好一光 1951年(昭26)同光社刊。全12篇。 1950年(昭25)4月、雑誌「富士」掲載「辰巳八景」清水三重三・画。 1951年(昭26)3月、雑誌「富士」掲載「仁王の怒り」佐多芳郎・画。 1951年(昭26)5月、雑誌「富士」掲載「地獄のたより」馬場…

『三尺の墓』 高木彬光

三尺の墓:高木彬光 1958年(昭33)東京文芸社刊。 1961年(昭36)12月、雑誌「小説倶楽部」臨時増刊号に「三尺の墓」のみ再掲載。 高木彬光の生み出した探偵のうち最も有名なのは神津恭介だが、別の私立探偵、大前田英策の活躍する作品も少なくない。大前田…