2024-11-01から1ヶ月間の記事一覧
悪霊の群:山田風太郎&高木彬光 1956年(昭31) 大日本雄弁会講談社刊。 これは珍しい山田風太郎と高木彬光の合作推理小説だった。作家が一人だけで書き上げるのとはかなり勝手が違ってくるので、感覚的にはもどかしい点もあっただろうと思う。登場人物の使…
新聞小説の周辺で:川合澄男 1997年(平9)学芸通信社刊。 筆者は全国各地の新聞社に学芸・文芸の分野での記事情報を配信している学芸通信社の二代目社長だった人物。特に新聞小説の連載に関しては、地方紙では個別に作家との交渉をとるよりも、こうした通信…
神変呉越草紙:白井喬二 1926年(大15)衆文社刊。河野通勢・画。 1969年(昭44)学芸書林刊、定本白井喬二全集6、御正伸・画。 1970年(昭45)番町書房刊、日本伝奇名作全集1、小島剛夕・画。 神変呉越草紙:白井喬二、御正伸・画 典型的な伝奇小説だろう…
黄薔薇:三遊亭円朝 1887年(明20)金泉堂刊。 1926年(大15)春陽堂、円朝全集 巻の七 「欧州小説・黄薔薇」(くわうしやうび/こうしょうび)と銘打っての口演速記本なのだが、当時まだ聴衆や読者には西欧の事物について見聞きしたことがない人がほとんど…
裸女と拳銃:鷲尾三郎 1956年(昭31)3月~5月、新聞「内外タイムス」に連載。原題は『地獄の神々』 1959年(昭34)同光社刊。 1959年(昭34)春陽文庫。 この作品は1958年に日活で映画化されたときのタイトルが「裸女と拳銃」であったため、以後の刊行では…
薔薇夫人:竹田敏彦 1952年(昭27)向日書館刊。 1957年(昭32)東方社刊。 旧華族の邸宅を買い取って高級中華料理店「薔薇園」を営む女主人の葉山貴志子の謎めいた行動が興味を引く。しかしながら物語はいきなり戦前の中国に舞台を移す。青島で日系のマッチ…
池田大助捕物日記:野村胡堂 1953年(昭28)同光社磯部書房刊。11篇所収。 1952年(昭27)雑誌「読切倶楽部」一部掲載。 野村胡堂と言えば「銭形平次捕物帳」が代名詞のようになっているが、その外に「池田大助」の捕物帳のシリーズがある。この池田大助も…
新聞小説史(昭和初期):高木健夫 1976年(昭51)11月~1978年(昭53)2月「新聞研究」304号~319号に〈昭和初期〉を連載。 1978年(昭53)3月~1981年(昭56)4月「新聞研究」320号~357号に〈昭和中期〉を連載。 明治篇から通算すると131回の連載だっ…
不思議な巷:大河内常平 1956年(昭31)あまとりあ社刊。 大河内常平(おおこうち・つねひら、1925~1986)は探偵作家として戦後の10数年間のみの活動しかなく、あまり記憶に残る大作もなかったので忘れ去られている。これは初期の短編10作を集めたもの…