明治大正埋蔵本読渉記

明治大正期の埋もれた様々な作品を主に国会図書館デジタル・コレクションで読み漁っています。

2024-12-01から1ヶ月間の記事一覧

『世界風流好色譚』 風流隠士(石井哲夫)

新説今昔物語:風流隠士(石井哲夫) 1951年(昭26)1月~1952年(昭27)1月、雑誌「富士」連載。 1956年(昭31)妙義出版刊、スマイルブックス『新説今昔物語』6篇所収。 今年の8月に読んだ連載物の残り半分を読了した。筆名風流隠士の石井哲夫については…

『魔性の女』 小川煙村

魔性の女:小川煙村 1912年(明45)九葉堂刊。 小川煙村(えんそん、1877~1952)は新聞の記者作家として出発し、明治後期から昭和戦中期まで小説、戯曲、歴史書などを書いた。 この作品は、芸妓や愛妾として気ままに暮らす美貌の女お艶によって次々とメロメ…

『あばれ振袖』 高木彬光

あばれ振袖:高木彬光 1955年(昭30)東京文芸社刊。正続2巻。 ひと言で言えば相馬中村藩のお家騒動をめぐる伝奇小説。藩主重胤が重病の床についたので、世継ぎ問題が表面化した。娘の琴絵姫に婿を取るか、弟の長十郎に譲るか、御落胤の柳太郎を探し出して…

『小林清親 東京名所図』 小林清親

小林清親 東京名所図 2012年(平24)二玄社刊。《謎解き浮世絵叢書》の一冊。 幕末の北斎や広重の大人気のあと、明治維新以降の日本の風景画(版画)については、せいぜい文明開化の様子を描いた錦絵ぐらいしか記憶していない。 偶然にもNDLイメージバンクの…

『大岡越前守』 滴翠軒

大岡越前守:滴翠軒 1911年(明44)金正堂刊。袖珍講談文庫。 作者名の滴翠軒(てきすいけん)とは京都東本願寺に付属する庭園渉成園にある茶亭と同名であり、版元の都合で便宜的に使われた筆名ではないかと思われる。この本は、大阪の二つの版元(金正堂と…

『からみ合い』 南条範夫

からみ合い:南条範夫 1959年(昭34)7月~12月、雑誌「宝石」連載。 1959年(昭34)光文社、カッパ・ブックス。 1973年(昭48)講談社、現代推理小説大系 16巻 所収。 1981年(昭56)徳間文庫刊。 巨額の遺産相続をめぐる人間模様を描く、しっかりと構成さ…

『怪談驟雨』 蛙声庵主人(浅見俊雄)

怪談驟雨:蛙声堂主人 1889年(明22)吉田博声堂刊。 (くわいだん・にはかあめ)副題として「一名:四つ手の尼」と出ているので最初から化物譚だろうと想像がつく。作者は蛙声庵(あせいあん)主人となっているが、京都の新聞社の作家記者と思われる。当初…