明治大正埋蔵本読渉記

明治大正期の埋もれた様々な作品を主に国会図書館デジタル・コレクションで読み漁っています。

2025-11-01から1ヶ月間の記事一覧

『血染の革包:探偵講談』 山崎琴書

血染の革包:山崎琴書 1896年(明29)駸々堂刊。 講談師、山崎琴書(きんしょ、1847~1925)の口演速記本の一つ。明治中期から後期にかけて探偵講談と称する探偵活劇の速記本を多く出版した。言い方によっては口述筆記スタイルの探偵作家とも言える。講釈師…

『望』 北島春石

望:北島春石 1916年(大5)春江堂刊、前後終編の全3巻。 北島春石は硯友社系列の二流作家と見なされていたが、地方紙に新聞小説を書き、家庭小説の分野でも多くの作品が出版されており、文字通り「筆達者」な人物であったと思う。この『望』(のぞみ)も九…

『大蛇美人』 島田美翠

大蛇美人:島田美翆 1896年(明29)駸々堂刊。(新撰探偵小説第9集) (だいじゃびじん)明治20~30年代に流行した最初期の探偵小説の一つ。大阪の大手版元の駸々堂から春陽堂の向うを張って小冊子の形で続々と出版された。作者の島田美翆は柳川とも号…

『妖精は花の匂いがする』 藤沢桓夫

妖精は花の匂いがする:藤沢桓夫 1952年(昭27)東成社刊。(ユーモア小説全集第9) 長いタイトル。戦後の大阪を舞台とした二人の女子大生と独身助教授との恋愛感情の絡み合いと変容を描く。米川水絵と小溝田鶴子は仲良しだが、水絵は老舗菓子屋の令嬢で、…

『ごろつき船』 大佛次郎

1928年(昭3)6月~1929年(昭4)6月、大阪毎日新聞及び東京日々新聞に連載。 1929年(昭4)改造社刊、上下2巻。 1970年(昭45)読売新聞社、大佛次郎時代小説自選集第4、5巻。 江戸末期の北海道、松前藩の廻船問屋八幡屋の当主の殺害と焼打ちは、家老蠣崎…

『いいわけ夫人:舶来小咄集』 玉川一郎

いいわけ夫人:玉川一郎 1955年(昭30)久保書店刊。 フランス伝統の「小咄」いわゆるコント集。戦前の昭和13年(1938)にすでに『弁解夫人:風流紅毛短編集』というタイトルでほぼ同内容のものが出版されていた。そこでは一篇ごとに作者名が記載されてい…

『やがて青空』 北条誠

やがて青空:北条誠 1955年(昭30)東方社刊、東方新書。 表題作『やがて青空』のほか、『女心を誰が知る』、『恋の十三夜』の中篇計3作を収める。 やがて青空:東宝(1955) 『やがて青空』は1955年に東宝で映画化された軽妙なタッチのラブコメディ。高校…