2026-01-01から1年間の記事一覧
君は今宵も:竹田敏彦 1954年(昭29)8月~1955年(昭30)5月、雑誌「読切俱楽部」連載。 1955年(昭30)東方社刊。 タイトルとしてはメロドラマ風なのだが、作品としては乙女チックな純愛物語だった。代議士令嬢俊子が思いを寄せる苦学生省吾はアルバイトと…
婚約三人娘:中野実 1948年(昭23)5月~1949年(昭24)6月、雑誌「婦人生活」連載。 1952年(’昭27)東方社刊。 発表された時期が終戦後丸3年経った頃、雑誌の紙質も最低限で、文字も挿絵もかすれていた。結婚難の世相を反映して、ユーモア小説界には、「…
隣り合せ:春風楼主人 1916年(大5)樋口隆文館刊、前後終全3篇。 作者の春風楼主人(しゅんぷうろう・しゅじん)とは、戯作者の称号のようだが、大正期でもそうした称号を用いる作家は少なくなかった。おそらく別人と思われる人が、明治中期頃史実物を書い…
はつ恋:篠原嶺葉 1915年(大4) 湯浅春江堂刊。 当代人気随一と呼び声の高い新派女優玉乃輝子は、贔屓客の甘言に騙され、待合で狼藉に遭うところを逃げ出し、折よく通りかかった東山侯爵家の馬車に助けられる。馬車の主は嗣子の具麿という大学生だったが、…
忍術三四郎:関川周 1950年(昭25)~1951年(昭26)雑誌「小説倶楽部」連載 1956年(昭31)文芸評論社刊。 冒頭からの「この男十万円で売ります」というポスターを身体に掛けて、銀座の街を歩く男の姿は印象的だ。結核で病臥している恋人の治療費を捻出する…
天使の罪:山岡荘八 1950年(昭25)7月~1951年(昭26)5月、雑誌「主婦と生活」に連載。 1953年(昭28)東方社刊。 山岡荘八による現代小説の一つ。タイトル作の『天使の罪』のほかに中篇『花ある銀座』を併収する。いずれの作品も戦後女性の生き方をめぐる…
泣虫記者:入江徳郎、三芳悌吉・画 1955年(昭30)鱒書房刊。 入江徳郎(1913~1989)は昭和を代表するジャーナリストの一人。時事評論やニュースキャスターとして活躍したが、最初は朝日新聞社の社会部記者としてニュース現場での豊富な経験を綴ったのが本…
怪猫屋敷:橘外男、伊藤幾久造・画 1952年(昭27)偕成社刊。 1958年(昭33)東京ライフ社刊、(『亡霊怪猫屋敷』と改題) 橘外男(1894~1959)は戦前、戦中を通して貿易会社で働く傍ら文筆活動を続けた。1938年『ナリン殿下への回想』で直木賞を受賞。戦後…
無敵ぼっちゃん:三橋一夫 1951年(昭26)~1952年(昭27)雑誌「小説俱楽部」連載。 1954年(昭29)豊文社刊。 1971年(昭46)春陽文庫。 作者三橋(みつはし)の名をもじった主人公満星(みつぼし)勇之介の青春記。少々ぶっきらぼうで直情的な性格は、漱…
女学生群:田村泰次郎 1949年(昭24)6月~1950年(昭25)5月、雑誌「りべらる」連載。 1951年(昭26)東方社刊。 終戦直後の東京。新時代の教育理念を抱いて自由学院を運営する院長の宮部、その実娘の三紀はそこの専門部の学生だった。普通部は3年制の女子…
美人魔:渡辺黙禅 1910年(明43)樋口隆文館刊、前後全2巻。 時代は明治末期、日清戦争直後の頃。横浜の花柳街として有名な真砂町の貸家に入居を申し込んできたのは、目の覚めるような美貌の芸妓上がりのような若い女性。金に糸目をつけず、単独で次々と交…
南風:富田常雄 1951年(昭26)湊書房刊。 図式の明確な柔道物。主人公の浜誠一郎は大学生で柔道六段。九州の出身でその大らかな性格から「南風」(読みが「なんぷう」なのか「はえ」なのかは明記されていない)という渾名が付いていた。恩師に紹介されたア…