2026-05-01から1ヶ月間の記事一覧
幽霊賊:三上於菟吉 1935年(昭10)サイレン社刊。 1948年(昭23)まひる書房、少年少女文庫選。 「幽霊賊」というタイトルからすれば怪盗物という定石通り、悪徳富豪の隠し場所から予告状の時刻に重要書類が盗まれる。しかも屋敷には外から出入りした形跡は…
化物語:妖怪奇変 杉浦野外坊 1907年(明40) 磯部甲陽堂刊。 文筆家の杉浦野外(ここでは末尾の「坊」を外した)という人物に関しては、国木田独歩と一緒に雑誌の編集を行っていた人らしい。単行本としてはこの作品しか見当たらない。達意の文章で、まだ所…
礒川兵助新功名噺:野村胡堂 1957年(昭32)東方社刊(新編6作と道中記、及び他の時代短篇2作) 1963年(昭38)青樹社刊(本編9作に加え、新編6作と道中記を含む) 「礒川兵助」物の続篇である。読む側の個人的な思い入れになるが、同郷の仙台藩の人の話…
怨めしや:三宅青軒 1897年(明30)松声堂刊。 タイトルから連想すれば怪談物になるが、物語の内容は、人を殺めてしまった女性が事件の発覚を逸れながらも、折に触れて被害者の亡霊の幻影に苛まれ、精神的に追い込まれていく過程を描いたものだった。この時…
無言の誓:菊池幽芳 1894年(明27)駸々堂刊。 1914年(大3)駸々堂、大正文庫20 明記していないが、この作品も英国小説から翻案したようなバタ臭さが感じられた。東京のお屋敷町の一角に化物屋敷と噂される洋館の主鷺塚青年と、それに隣接する吉田家の令嬢…
礒川兵助功名噺:野村胡堂(開明社版) 1946年(昭21)開明社刊。 1963年(昭38)青樹社刊(本編9作に加え、新編6作と道中記を含む) 岩手県出身の野村胡堂(1882~1963)には仙台藩の人物を描いた作品も少なくない。この「礒川兵助」物もその一つで、戦中…
七人の惨殺:孤舟漁隠 1896年(明29)駸々堂刊、探偵小説第13集。 明治中期に盛んに刊行された駸々堂の探偵小説シリーズの一つだが、この作品に関しては、中身は探偵小説ではなく、犯罪実録もしくは事件記録、今でいえばノンフィクションに近いものだった。…
宇都宮釣天井:神田伯龍 1896年(明29)駸々堂刊。 講談では有名な三代将軍家光に対するクーデター未遂事件である。原因となったのが、二代秀忠の嫡子三人のうち、長男が早世し、次男竹千代と三男国松のどちらに将軍位が継がされるかにあり、家臣の中に派閥…
愛情の星:菊田一夫 1954年(昭29)8月~11月、雑誌「読切俱楽部」連載。 1957年(昭32)東方社刊。 戦後期のメロドラマのうちで最も有名な「君の名は」を書いた菊田一夫は、他にも非常に沢山の作品を書いた売れっ子作家だった。この「愛情の星」もその一つ…
振袖剣光録:高木彬光 1956年(昭31)5月、雑誌「小説倶楽部」臨時増刊号掲載。 1956年(昭31)東京文芸社刊。 表題作の中篇「振袖剣光録」と短篇6作を含む高木彬光の時代小説。 振袖剣光録:高木彬光、木俣清史・画 八代将軍吉宗はその権力を確かなものに…
園井警視総監:竹葉散人 1909年(明42)此村欽英堂刊。 『S巻美人』の完結編。比叡山中で発見されたS巻美人の他殺体がなぜ名古屋の富貴令嬢おきぬに酷似しており、親族でも見分けがつけられなかったのかが解き明かされる。原作の書き方がそうだったのだろう…