2026-06-01から1ヶ月間の記事一覧
本朝悪狐傳:玉田玉照 1893年(明26)駸々堂刊。 講談速記本は明治20年代から盛んに出版された。一般の小説本はまだ語りの部分が漢文調が大半であり、言文一致体が標準化されるのは明治35年以降まで時を待たねばならなかったようだ。講談師・講釈師の速…
美人自叙伝:佐々木邦、佐藤泰治・画 1930年(昭5)雑誌「婦人倶楽部」連載。 1931年(昭6)大日本雄弁会講談社刊、佐々木邦全集第8巻所収。 1954年(昭29)東方社刊。 いわゆる美人、つまり容姿端麗の人には常に精神的なゆとりがある。自分の存在が無視され…
二人娘:菊池幽芳 1904年(明37)駸々堂刊。 1914年(大3)駸々堂刊、大正文庫第19編。 恋愛をめぐる女性たちの心に等しく現れる感情、特に独占欲、嫉妬心、あるいは競争相手を亡き者にしたいと願う悪魔的な想念などが、二人の境遇の変遷に応じてそれぞれに…
まぼろし小僧:松林小円女 1902年(明35)至誠堂刊。 明治期の女性講談師松林小円女(しょうりん・こえんじょ)の講談速記本。この書物では何らかの事情なのか小林となっているが、おそらく(こばやし)ではなく(しょうりん)のつもりだったと思われる。彼…
突風地帯:下村明 1956年(昭31)東京文芸社刊。 下村明(1922~?)は戦後昭和期に柔道を主体としたアクション小説や推理小説を書いたが、詳しい経歴は明かされていない。九州を舞台とするものが多いのと柔道の動きに迫力ある詳細な描写が多い点が特徴であ…
船幽霊:高山怨縁 1917年(大6)大川屋書店刊。 怪談百物語のシリーズの一冊。表題作「船幽霊」のほかに「死人喰ひ」と「お清が淵」の計3篇を収める。 主人公の武雄は両親が航海に出て行方不明となったため、叔父夫婦に育ててもらっていた。叔父も船員で、…
夏やすみ:東草水(+川端龍子・画) 1911年(明44)実業之日本社刊。 筆者の東草水(ひがし・そうすい、1882~1916)は実業之日本社の発行していた「日本少年」などの少年少女向け雑誌の編集に携わっていた。29歳のときに書いたこの作品は、中学生の傳次…
春日野若子:菊池幽芳 1893年(明26)駸々堂刊。 1913年(大2)駸々堂、大正文庫(第16編) 菊池幽芳(1870~1947)は明治・大正期の人気作家の一人だった。21歳で大阪毎日新聞社に入社し、記者として活動する傍ら文芸作家として作品を書いた。この小説は…
狂へる恋:吉井勇 1921年(大10)4月~ 中央新聞連載。 1922年(大11)新潮社刊。 1929年(昭4)新潮社、現代長編小説全集第15巻(吉井勇篇)所収。 吉井勇(1886~1960)は何よりもまず歌人であり、劇作家だった。35歳のとき初めて長編小説に手を染めたのが…