1921年(大10)博文館刊。当時実際に京橋五郎兵衛町で素行調査などの私立探偵事務所を経営していた岩井氏が取り扱った案件を、個人情報・位置情報をすべて書き換えて紹介するという事件簿。書籍としては岩井氏本人の著作としているが、本文では各エピソードを筆者が岩井氏の許を訪ねて聞き出すという形になっているので、代作者がいたと思う。松崎天民が大正4年に出した『探偵ロマンス』が同じスタイルで書かれていたようなので、その再刊かもしれない。現実に起きていた事件という野次馬的な興味でも惹かれる。当時の生活習慣を垣間見る点でも面白い。☆☆☆
国会図書館デジタル・コレクション所載。