1959年(昭34)くろしお出版刊。
戦後のテレビ放送初期の頃制作された連続ホームドラマの小説化本である。放送は1958年4月から丸5年間の長期にわたり、当時は絶大な人気を博していた。小説化は放送開始後1年半での1冊のみ。都会の片隅でごく普通に見かける高校教師の赤沢家とその隣の美容室の川田家に暮らす人々の、他愛もない出来事を明朗に描いていた。このどうということのない、ありふれた話が人々に親近感を持って受け入れられたのも、戦後復興という共通意識が当時の日本人の心に根ざしていたからかも知れない。☆
国会図書館デジタル・コレクション所載。個人送信サービス利用。
https://dl.ndl.go.jp/pid/1669654
カット画:宮崎恭子。
《わざとらしい所がなくて、率直で、一生懸命なわり合いに、うまく行かなくて、うまく行かなくても、そのわりに気にしない……要するに、ごくありふれた、あたりまえな健康な人たち、そんな人たちを中心にしたホームドラマを書きたいと考えていた。》(あとがき・須藤出穂)