
1956年(昭31)東方社刊。
1956年(昭31)1月、雑誌「小説倶楽部」に「東京犯罪地図」を掲載。
1961年(昭36)春陽文庫刊、表題を「信号は赤だ」に変更。
新宿警察署の中老の庄司部長刑事(デカチョー)とその部下たちの活躍を描く7篇。犯罪現場の経験を積んだ老練刑事たちの姿は特に性格描写もなく、漠然としたシケたひな型像に収まっている。戦後復興期の盛り場新宿を背景とした世相の活気ある人間臭さが懐かしく、親しみ深い。筆運びは簡潔かつ軽妙で、個々の事件はドラマ性があり楽しめた。☆☆

国会図書館デジタル・コレクション所載。個人送信サービス利用。
https://dl.ndl.go.jp/pid/1645179
https://dl.ndl.go.jp/pid/1790613/1/152
雑誌掲載の挿絵は伊勢田邦彦。

《庄司刑事は笑いながら四十一号室を出ると、更に階段を登って屋上へ出た。富士山が、思い掛けない方向に見えた。新宿のデパートや国会議事堂が、案外近くに見える。眼の下には、海原のように屋根が果てしなく続いていた。》(東京犯罪地図)