
1933年(昭8)1月~12月、雑誌「少女倶楽部」連載。
1942年(昭17)長隆舎書店刊、胡堂・防諜冒険小説名作選。
1950年(昭25)光文社刊、野村胡堂全集第5巻、痛快文庫。
1954年(昭29)偕成社刊。
戦前期に雑誌連載後、何度も再刊された少年少女向け冒険小説。野村胡堂の現代物は珍しいが、少年少女向けとしては他にもあるようだ。タイトルの「金銀島」は大航海時代から日本の近海に存在すると伝えられてきた全島が金の地金や砂金で覆われた島のことを指す。スペインの探検家セバスティアン・ビスカイノが日本に来航し、測量や探索を行ったが発見できない旨の報告書『金銀島探検報告』を残している。(下掲)
この小説では、行方不明となった探検家華山の家族が千駄ヶ谷の邸宅から追い立てられ、その際に持ち出せた徳川時代の時鳴鐘(時計)の中から、金銀島の場所を示す文書が見つかることから事態が動き出す。活躍するのは華山家の聡明な娘瑠璃子とその弟勇夫、近所の勘太郎。級友の玲子とその父親の柏博士である。それに敵対するのが島の財宝を狙う大里組の一味である。

戦前期の原宿駅前での花売りや新聞売りの様子、夜行列車での犯行、探険船での激闘など、筋運びの飛躍はありながらも、少女たちの機転と少年たちの勇気が発揮されるのを前面に出していた。胡堂自身も東北出身なせいか、仙台付近の土地勘のある記述は、関係者としては嬉しかった。☆☆☆
国会図書館デジタル・コレクション所載。個人送信サービス利用。
https://dl.ndl.go.jp/pid/1638602/1/4
https://dl.ndl.go.jp/pid/1624952/1/3
偕成社版の挿絵は中村猛男。

*参考記事Wikipedia: