
1959年(昭34)小説刊行社刊。
「警視庁物語」という通しタイトルで1956年から東映で製作された映画シリーズのノベライズ本。ここでは第1作の「逃亡五分前」と第9作「顔のない女」を収める。昭和時代の新聞の三面記事でしばしば報じられたような犯罪事件、連続タクシー強盗やバラバラ死体事件をわずかな手がかりから真相を突きとめて行く刑事たちの姿を、捜査レポートのようなドライな筆致で描いている。戦後風俗の一端を表わす「ハンカチタクシー」(下掲参照)や露天商などの生態は今となっては貴重なものとして見えてくる。☆☆☆

国会図書館デジタル・コレクション所載。個人送信サービス利用。
https://dl.ndl.go.jp/pid/1358481

《いつか、街には夕闇が迫っていた。立ち並ぶ商店の軒々には、蛍光灯がまぶしそうに輝き、赤や黄色のネオンサインが、チラホラと夕闇の空に明滅していた。狭い路上に、ゴタゴタと店を拡げている露天商の店先にも、アセチレンガスの灯が、ユラユラと揺れて動いている。》(逃亡五分前)

※参考サイト:
※※旧作日本映画ロケ地チャンネル
※※※参考過去記事