
1956年(昭31)文芸評論社刊(スワン新書)
「スキャンダル」という物騒なタイトルがついているが、大体は男女間の醜聞、つまり誰と誰がくっついた、離れたという噂話がほとんどだろうと思う。この本の刊行は1950年代であり、それを時系列的に拾って並べれば、20世紀の約半分を経過した半世紀の日本映画界を回顧した概史になるのかもしれない。特に明治から戦前までの、川上音二郎と貞奴、島村抱月と松井須磨子、岡田嘉子と杉本良吉などのケースは演劇史・映画史の重要なエピソードとして良くまとまっていた。
それに比べると終戦直後のスターたちのゴシップは、そのほとんどが雑誌に出たコラム記事を集めたものと思われる。書かれた本人たちも現役で活躍していたので、今なら「名誉棄損」の裁判沙汰にもなりかねない話だが、この当時はそれも人気商売のネタになっていたかもしれない。
作者の文体はいかにも書き慣れた語り口で、特に「ムズカしいカンジをカタカナ表記にしてゴマかす」ような軽妙(ケイミョー)さに面白味があった。☆☆☆
国会図書館デジタル・コレクション所載。個人送信サービス利用。
https://dl.ndl.go.jp/pid/2479114
表紙絵は石原豪人。