明治大正埋蔵本読渉記

明治大正期の埋もれた様々な作品を主に国会図書館デジタル・コレクションで読み漁っています。

『サムライ社員』 林二九太

サムライ社員:林二九太

1960年(昭35)10月~1961年(昭36)8月、雑誌「読切倶楽部」連載。

1962年(昭37)桃源社刊。

 

サムライ社員:林二九太、森下和男・画

 大学では柔道部の主将だった主人公の川崎天平は、卒業後しばらく就職浪人だったが、近隣騒動のきっかけから、会社の社長秘書として雇われる。人物が鷹揚でバンカラな態度、正義感にあふれ、その知力体力から、サムライ社員と呼ばれる。好男子が出てくる日本のユーモア小説には、どうしても漱石の「坊ちゃん」が雛型として類推されてしまうのはやむを得ない。ここでも柔道部の副将だった親友が加わるとともに、姑息な男への鉄拳制裁や、野太鼓のようなゴマすりが出てくる。

 

サムライ社員:林二九太、森下和男・画2

 そもそも婿養子である社長が、冷淡で高慢な本妻に頭が上がらず、貞淑な二号夫人に家庭の平安を求めるという心情に主人公たちが共感し、知恵を絞って次々と危機をかわしていく。痛快の一篇である。☆☆

 

国会図書館デジタル・コレクション所載。個人送信サービス利用。

https://dl.ndl.go.jp/pid/1723092/1/32

https://dl.ndl.go.jp/pid/1360263/1/3

雑誌連載時の挿絵は森下和男。

サムライ社員:林二九太、森下和男・画3




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