
1955年(昭30)1月~8月、雑誌「婦人生活」に連載。
1955年(昭30)1月~6月、雑誌「新婦人」に「どこであなたと」連載。
1955年(昭30)東方社刊。
北村小松(1901~1964)は、戦前は映画のシナリオ作家、戦後はユーモア作家として活躍した。戦後の婦人雑誌では何本もの連載小説を載せるのが主流だったが、メロドラマの他にユーモア小説も多く、二色刷りの挿絵が豊富な絵物語スタイルは、田中比左良などが数年にわたって各作家の作品に色どりを添えた。これらの作品はその後単行本化されているが、挿絵は除外されているために、雑誌で読む(見る)楽しみに比べれば、興味は半減する。

ここでは、伯父の経営する医院の美人勤務医であるヒロイン美喜子が、クリスマスパーティに誘う数多の男たちをいかに躱すかに腐心する。母親や伯父に騙されて無理矢理お見合の場に引き出された彼女は、同じように騙されてやって来た相手とヤケ酒を飲んで泥酔する始末。あの手この手の男たちの魔の手を避けながら、急速に好意から熱意に変化していく女心の不思議を楽しく描いている。☆

単行本にはもう一つの中篇『どこであなたと』が収められている。ほぼ同時期に掛け持ちで雑誌「新婦人」に連載したもので、こちらの挿絵は小島功が担当している。小島が描く、背がスラリと高く、目元がパッチリして、鼻の尖った美女がヒラヒラ飛び回る姿はそのままイメージとして受け入れやすい。銀座のカフェと湯河原の温泉宿でのドタバタ喜劇。☆

国会図書館デジタル・コレクション所載。個人送信サービス利用。
https://dl.ndl.go.jp/pid/1354510
https://dl.ndl.go.jp/pid/2324913/1/58
https://dl.ndl.go.jp/pid/11399065/1/60
雑誌連載時の挿絵は田中比左良。
併収の中篇「どこであなたと」の挿絵は小島功。