
1954年(昭29)4月~1955年(昭30)6月、雑誌「婦人生活」連載。
1959年(昭34)講談社、ロマンブックス。
鳴山草平(なるやま・そうへい、1902~1972)は戦中期に時代小説で直木賞候補にもなったが、戦後は自身の教員としての経験を反映させた「きんぴら先生」のシリーズで人気を博した。この作品もその一つで、横浜市の希望ヶ丘にある女子高校に赴任した主人公坂田金平の身辺に起きる様々な事件と関係者との対応を描く。富豪の我がまま娘、理知的で持論を曲げない女生徒、教え子で金平を慕う映画女優、整い過ぎた美人教師と、彼の周囲は多事多難の連続となる。

特徴的なのは。作家の目が人物の心の奥底に入ることなく、心理描写が表面的なので、読む側も確定的な結論が得られぬままに次に進むという点で、それも技法の一つなのだろうと思った。終戦直後のことで、教師の行動を叙述するところに「~においでになった」とか「お笑いになった」などの敬語調の表現が気に留まった。☆☆
国会図書館デジタル・コレクション所載。個人送信サービス利用。
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雑誌連載時の挿絵は伊勢田邦彦。
