明治大正埋蔵本読渉記

明治大正期の埋もれた様々な作品を主に国会図書館デジタル・コレクションで読み漁っています。

『無敵坊ちゃん』 三橋一夫

無敵ぼっちゃん:三橋一夫

1951年(昭26)~1952年(昭27)雑誌「小説俱楽部」連載。

1954年(昭29)豊文社刊。

1971年(昭46)春陽文庫

 作者三橋(みつはし)の名をもじった主人公満星(みつぼし)勇之介の青春記。少々ぶっきらぼうで直情的な性格は、漱石の「坊っちゃん」とどうしても対比されるのを承知の上で、あえてタイトルに流用している。こちらの場合は少年期からの思い出を、作者自身の自伝的と思われる要素を織り込んで語っており、軽妙洒脱だった。

無敵坊ちゃん:三橋一夫、鈴木清・画

 ひ弱ならっきょう頭の少年は、それでも柔道を習っているうちに、師範の先生との交友を深め、めきめき強くなり、学生時代には五段と、その「無敵」ぶりを発揮する。しかし相撲大会に駆り出されたり、柔道の対抗試合で最後に負けたりと(作り事なら出来過ぎなほど勝つところ)現実味があった。金持ちのドラ息子でニヤケ男の恋仇に競り勝って、晴れて欧州留学へ立つところで幕となるが、これも作者自身の経歴に通じていた。☆☆☆

 

無敵坊ちゃん:三橋一夫、鈴木清・画

国会図書館デジタル・コレクション所載。個人送信サービス利用。

https://dl.ndl.go.jp/pid/1790611/1/17

https://dl.ndl.go.jp/pid/1643544

雑誌連載時の挿絵は鈴木清、単行本のカバー絵も鈴木清。

カバー絵の犬の姿は、作中の柔道師範の家で飼われていた「三四郎」というメス犬と思われる。

無敵坊ちゃん:鈴木清・画

 

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