明治大正埋蔵本読渉記

明治大正期の埋もれた様々な作品を主に国会図書館デジタル・コレクションで読み漁っています。

『仮面の商標』 邦光史郎

仮面の商標:邦光史郎

1963年(昭38)文芸春秋新社刊、ポケット文春。

 邦光史郎(1922~1996)の社会派推理小説。繊維メーカー「国際レーヨン」の調査部所属の主人公杉野浩治は、自社ブランドの贋物の粗悪品を製造販売している会社を突きとめるため、長期欠勤を申し出て大阪に向かう。彼がそこまで思いつめたのは、先に調査に出た同僚が列車内で殺害されたためであり、取引業者の人物の自殺とともに、それらの死に何らかの背景があるのではと疑われた。

 60年代には大型スーパーが林立し、従来の商習慣を打破する販売戦略がしのぎを削っていた。この辺は昭和の成長期における人々の活気がうかがえた。その安売りの目玉としての粗悪品も横行したようで、メーカーとしても、正規の製品の品質維持か、廉価品への対応かの岐路に立たされることになる。

仮面の商標:邦光史郎、長尾みのる・カット

 杉野はむしろ同僚の殺害を企んだ人物の追跡と、その巧妙な偽装工作を見破ろうとするが、粗悪品を作っているとにらんだ工場も不審火で焼け、そこにも焼死体が見つかったり、スーパーの内部に入り込めずに苦労する。最後は業界新聞の記者の支援で、黒幕を追い詰めるのだが・・・

 

黒の商標:大映(1963)

 この作品は、当時大映が手がけていた社会派スリラーの「黒の××」というシリーズの一つ「黒の商標」として1963年に映画化された。☆☆

 

国会図書館デジタル・コレクション所載。個人送信サービス利用。

https://dl.ndl.go.jp/pid/1649566

イラストは長尾みのる。

仮面の商標:邦光史郎、長尾みのる・カット

 

にほんブログ村 本ブログ 古本・古書へ