
1958年(昭33)桃源社刊。
主人公の雄二は戦災孤児で、終戦直後は有楽町のガード下で靴磨きをしていたが、駐留軍の米兵に拾われて12年間沖縄で暮らした。空手の技も身につけた。久しぶりに帰ってきた有楽町は懐かしさもあったが、大きく変貌していた。ふと目の前を歩いていた男が、別の男たちに車道に突き飛ばされ、轢死する。男たちはタクシーで逃げた。明らかに殺人だった。
雄二は小さな喫茶店を経営する兄妹の世話になりながら、殺されたのが地元のヤクザだったことを知り、背後に東京の繁華街ごとのヤクザの勢力争いがあることを知る。間もなく兄の孝吉も殺され、孤立無援となった妹の桃子を助けて、雄二は単身で立ち向うが、ヤクザの抗争を陰で操る黒幕とその愛妾の役割があからさまになる。・・・

この作品は松竹で映画化された。裏社会の暴力的で不気味な動向については、以前読んだ『獣の通る道』(中村八朗)と共通する感覚がした。強大な組織勢力に対しては個人で太刀打ちできない無力感も覚えた。☆☆

国会図書館デジタル・コレクション所載。個人送信サービス利用。
https://dl.ndl.go.jp/pid/1647270/1/3
※参考過去記事:『獣の通る道』 中村八朗
『決闘街』 宮本幹也