
1946年(昭21)開明社刊。
1963年(昭38)青樹社刊(本編9作に加え、新編6作と道中記を含む)
岩手県出身の野村胡堂(1882~1963)には仙台藩の人物を描いた作品も少なくない。この「礒川兵助」物もその一つで、戦中の1940年(昭15)から雑誌に連載されていた。飄々とした粗忽者の下級藩士兵助が、その人の良さからしくじりを起こし、様々な弥縫策で切り抜けるという連作短篇集9篇である。

毎話ごとに冒頭には、二人の青侍による対話で、礒川(しばしば臍(へそ)川と悪口される)の動静についての噂話や彼を陥れるための策略が話し合われるが、これには軽妙な味わいがあった。また美人ながら押しかけ妻となる重臣の娘お津絵の性格描写とともに、その知恵の冴えで兵助を助ける点も魅力だった。銭形と同等以上に楽しめた。☆☆☆☆
なおこの作品は戦中の1942年(昭17)に東宝で映画化され、榎本健一(エノケン)が主演だった。

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https://dl.ndl.go.jp/pid/12546251
https://dl.ndl.go.jp/pid/1649615/1/3