明治大正埋蔵本読渉記

明治大正期の埋もれた様々な作品を主に国会図書館デジタル・コレクションで読み漁っています。

恋愛小説

『鹿鳴館』 富田常雄

鹿鳴館:富田常雄 1946年(昭21)8月~11月、雑誌「りべらる」連載。 1951年(昭26)講談社刊、「猿飛佐助」(講談社評判小説全集第5)所収。 1955年(昭30)平凡出版刊、「薔薇の紘道館」(平凡映画小説シリーズ)所収。 1964年(昭39)双葉社刊、「明治の…

『地上の星座』 牧逸馬

地上の星座:牧逸馬 1932年(昭7)5月~1934年(昭9)5月、雑誌「主婦の友」に連載。 1934年(昭9)新潮社刊。 「丹下左膳」の作者として有名な林不忘は、牧逸馬という別の筆名を使って昭和初期の現代小説家として多様なジャンルを跨いだ言わば「天衣無縫な…

『白鬼』 三上於菟吉

白鬼:三上於菟吉 1925年(大14)新潮社刊。 三上於菟吉の出世作。白鬼と渾名されるニヒルな青年細沼は、刹那主義的な思考で言葉巧みに世渡りをしていく。その狡猾な弁舌と振舞に惹かれた女たちが次々に恋の魔手にかかる。それは真面目な女事務員、芸術家集…

『風吹かば吹け』 北条誠

風吹かば吹け:北条誠 1958年(昭33)1月~12月、雑誌「小説俱楽部」連載。 1958年(昭33)桃源社刊。 北条誠の得意とするメロドラマ作品の一つ。美しい人妻の「よろめき」と書けば鼻白む向きもあるだろう。老実業家社長の後妻となったヒロイン由岐子は数年…

『白鳥は告げぬ』 藤沢桓夫

白鳥は告げぬ:藤沢桓夫 1957年(昭32)東方社刊。 (しらとりはつげぬ)京都の映画撮影所の脚本部に勤めるヒロインの筧梨花子の兄は、失恋がもとで自殺していた。その相手の男女は若手監督の宮崎と女優の笛美なのだが、彼女は何とか亡兄の復讐をしたいと思…

『ろまんす横丁』 鹿島孝二

ろまんす横丁:鹿島孝二 1953年(昭28)東方社刊。 鹿島孝二 (1905~1986) は戦中から戦後期にかけての明朗小説家である。この本は15の掌編集で、軽妙な語り口で平凡な市民生活の諸様相を描いている。「ロマンス」という言葉は今となっては古風な響きとな…