恋愛小説
妖精は花の匂いがする:藤沢桓夫 1952年(昭27)東成社刊。(ユーモア小説全集第9) 長いタイトル。戦後の大阪を舞台とした二人の女子大生と独身助教授との恋愛感情の絡み合いと変容を描く。米川水絵と小溝田鶴子は仲良しだが、水絵は老舗菓子屋の令嬢で、…
緋牡丹記:有田治、岩田専太郎・画1 1949年(昭24)1月~5月、『朱唇帖』のタイトルで小島政二郎が雑誌「婦人生活」に連載そして中断。 1949年(昭24)6月~1951年(昭26)9月、『緋牡丹記』のタイトルで有田治の草稿のまま、同雑誌に連載を継続。 1954年(…
君よ知るや:藤沢桓夫 1956年(昭31)9月~1957年(昭32)8月、雑誌「読切俱楽部」連載。 1957年(昭32)東方社刊。 大阪の繁華街を舞台としたロマンス篇。ヒロインの朱美子は平凡なサラリーガール。甲斐性のない兄が使い込んだ資金の穴埋めのため、その旧友…
この日美わし:大林清 1959年(昭34)東京文芸社刊。 戦後昭和期の紋切り型メロドラマの一つ。登場人物の設定が今どきの少女コミックに通じるのと、プロットの組立てにやや安易すぎる面もあった。 満州で孤児になった兄妹。帰国後、兄は若手作曲家として売り…
怨? 恋?:稲庭恒子 1913年(大2)日吉堂刊。 作者の稲庭恒子(いなにわ・つねこ)に関する情報は少なく、大正期に活躍した女流作家の一人だったとしか言いようがない。他にプロレタリア作家の中野重治の友人として、朝日新聞社の稲庭謙治とその妻恒子に言…
明るい階段:南條範夫、下高原健二・画1 1959年(昭34)8月~1960年(昭35)5月、雑誌「小説倶楽部」連載。 1960年(昭35)東都書房刊。 南條範夫による珍しい現代物の青春恋愛小説。大学を卒業したてのヒロイン陽子は明るく快活な性格で、友人同士では太陽…
三百六十五夜:小島政二郎 1949年(昭24)日比谷出版社刊、日比谷文芸選集所収。 1955年(昭30)東方社刊。 何と言っても小説は面白いことが第一だと思う。この作品は特に巧みな表現や文言があるわけではないが、筋の展開が思わず読者を惹きつけていく。 終…
貞操問答:菊池寛 1935年(昭10)改造社刊。 1950年(昭25)非凡閣刊、定本菊池寛長編小説選集第3巻所収。 貧しい借家暮らしの三人姉妹の真ん中、しっかり者の次女新子を中心に、演劇に熱中する長女の圭子と自由奔放な三女美和子の恋愛模様を描く長編。三人…
夢に罪あり:柴田錬三郎 1956年(昭31)大日本雄弁会講談社刊、ロマンブックス。 1958年(昭33)光風社刊。 柴田錬三郎の現代物の恋愛小説。物語の舞台として下北沢(東京都世田谷区)という地名が出てきただけで、個人的には通勤の最寄り駅として馴染んだこ…
生命ある河:片岡鉄兵、志村立美・画 1939年(昭14)2月~1940年(昭15)2月、雑誌「富士」連載。 1941年(昭16)非凡閣刊、新作大衆小説全集 第22巻所収。 (いのちあるかわ)片岡鉄兵は大正期には新感覚派、昭和初期にはプロレタリア作家として知られたが…
昭和挿絵傑作選(大衆読物篇) 1987年(昭62)国書刊行会刊。 普通に買うにはちょっと高価な大型本だが、幸か不幸か国会図書館のデジタル・コレクションの送信サービス(登録要)でネット閲覧が可能だったので、数日掛けて少しずつ堪能した。パソコンの画面…
鹿鳴館:富田常雄 1946年(昭21)8月~11月、雑誌「りべらる」連載。 1951年(昭26)講談社刊、「猿飛佐助」(講談社評判小説全集第5)所収。 1955年(昭30)平凡出版刊、「薔薇の紘道館」(平凡映画小説シリーズ)所収。 1964年(昭39)双葉社刊、「明治の…
地上の星座:牧逸馬 1932年(昭7)5月~1934年(昭9)5月、雑誌「主婦の友」に連載。 1934年(昭9)新潮社刊。 「丹下左膳」の作者として有名な林不忘は、牧逸馬という別の筆名を使って昭和初期の現代小説家として多様なジャンルを跨いだ言わば「天衣無縫な…
白鬼:三上於菟吉 1925年(大14)新潮社刊。 三上於菟吉の出世作。白鬼と渾名されるニヒルな青年細沼は、刹那主義的な思考で言葉巧みに世渡りをしていく。その狡猾な弁舌と振舞に惹かれた女たちが次々に恋の魔手にかかる。それは真面目な女事務員、芸術家集…
風吹かば吹け:北条誠 1958年(昭33)1月~12月、雑誌「小説俱楽部」連載。 1958年(昭33)桃源社刊。 北条誠の得意とするメロドラマ作品の一つ。美しい人妻の「よろめき」と書けば鼻白む向きもあるだろう。老実業家社長の後妻となったヒロイン由岐子は数年…
白鳥は告げぬ:藤沢桓夫 1957年(昭32)東方社刊。 (しらとりはつげぬ)京都の映画撮影所の脚本部に勤めるヒロインの筧梨花子の兄は、失恋がもとで自殺していた。その相手の男女は若手監督の宮崎と女優の笛美なのだが、彼女は何とか亡兄の復讐をしたいと思…
ろまんす横丁:鹿島孝二 1953年(昭28)東方社刊。 鹿島孝二 (1905~1986) は戦中から戦後期にかけての明朗小説家である。この本は15の掌編集で、軽妙な語り口で平凡な市民生活の諸様相を描いている。「ロマンス」という言葉は今となっては古風な響きとな…