明治大正埋蔵本読渉記

明治大正期の埋もれた様々な作品を主に国会図書館デジタル・コレクションで読み漁っています。

2024-06-01から1ヶ月間の記事一覧

『祇園天狗風流剣』 陣出達朗

祇園天狗風流剣:陣出達朗 1958年(昭33)2月~7月、雑誌「小説倶楽部」連載。 1958年、東京文芸社刊。 有名な「鞍馬天狗」の模作であることは作者も重々承知の上だろう。雑誌連載時はタイトルの末尾が「斬魔剣」だった。勤王派と佐幕派が対立する幕末の京都…

『白鳥は告げぬ』 藤沢桓夫

白鳥は告げぬ:藤沢桓夫 1957年(昭32)東方社刊。 (しらとりはつげぬ)京都の映画撮影所の脚本部に勤めるヒロインの筧梨花子の兄は、失恋がもとで自殺していた。その相手の男女は若手監督の宮崎と女優の笛美なのだが、彼女は何とか亡兄の復讐をしたいと思…

『白鬼屋敷』 高木彬光

白鬼屋敷:高木彬光 1958年(昭33)桃源社刊。 江戸の荒れ果てた屋敷に隠された海賊の財宝をめぐる伝奇小説。口入れ屋の津乃国屋に寄食する浪人神崎安兵衛は夜道で若い女を黒頭巾の男から救う。女の身元は不明のまま、その懐中に持っていた二枚の黄金銭が多…

『ろまんす横丁』 鹿島孝二

ろまんす横丁:鹿島孝二 1953年(昭28)東方社刊。 鹿島孝二 (1905~1986) は戦中から戦後期にかけての明朗小説家である。この本は15の掌編集で、軽妙な語り口で平凡な市民生活の諸様相を描いている。「ロマンス」という言葉は今となっては古風な響きとな…

『死神博士』 高木彬光

死神博士:高木彬光 1950年(昭25)5月~ 雑誌「少年少女譚海」連載。 1951年(昭26)偕成社刊。 高木彬光の生み出した名探偵神津恭介(かみつ・きょうすけ)の活躍する少年少女向けの探偵活劇。ある夜に大学病院の外科部長が謎の女によって拉致され、死んだ…

『火の玉小僧』 伊原青々園

火の玉小僧:伊原青々園 1915年(大4)大川屋書店刊。 明治31年から37年まで全国各地を荒し回った連続放火強盗犯、火の玉小僧こと西條浅次郎の生き様を描いた。明治大正の頃には個人情報は保護されておらず、事件の被害者名、所在地なども詳細に新聞で報じら…

『血染の短刀』 三品馨園

血染の短刀:三品馨園 1917年(大6)樋口隆文館刊。 三品馨園(みしな・けいえん、1857~1937)という明治大正期の作家については検索してもあまり情報が得られない。わずかにGoogle Books で明治期の文芸回想集等のいくつかに記述が見られた。 「三品は蘭湲…

『右門捕物帖全集(第1巻)』 佐々木味津三

右門捕物帖:佐々木味津三 1956年(昭31)鱒書房刊。 「むっつり右門」の捕物帖は全部で38話にのぼる。この鱒書房版では全5巻に分かれ、第1巻は第一番手柄「南蛮幽霊」から第七番手柄「村正騒動」までを収める。すべての話が「第〇番手柄」と整理され、…

『夜光怪人』 横溝正史

夜光怪人:横溝正史 2021年(令3)柏書房、横溝正史少年小説コレクション3「夜光怪人」所収。 1949年(昭24)5月~1950年(昭25)5月、雑誌「少年少女譚海」(たんかい)に連載。 横溝正史による少年向け探偵小説。仮面、怪盗、変装などのキーワードからも…

『少女地獄』 夢野久作

少女地獄:夢野久作 1936年(昭11)黒白書房、かきおろし探偵傑作叢書第1巻。 『探偵小説:少女地獄』というタイトルで、書き下ろしの単行本として出版された。目次によれば、『何んでも無い』、『殺人リレー』、『火星の女』の三部作をまとめた中短編集であ…

『怪龍島』 香山滋

怪龍島:香山滋 1985年(昭60)国書刊行会、香山滋名作選。 1949年(昭24)1月~ 雑誌「少年世界」連載。 香山滋は大蔵省の役人だったが、戦後になって40歳を越えてから作家活動に入った。古生物学を独学で修めたため、恐竜や怪獣が登場する作品が多い。 …