明治大正埋蔵本読渉記

明治大正期の埋もれた様々な作品を主に国会図書館デジタル・コレクションで読み漁っています。

2024-05-01から1ヶ月間の記事一覧

『幽霊の手引:怪談百物語』 高山怨縁

幽霊の手引:高山怨縁 1917年(大6)大川屋書店、怪談百物語第6巻。 作者高山怨縁(おんえん?)については生没年を含め、まったく情報がない。大川屋書店の企画で『怪談百物語』という怪奇物のシリーズ本が大正期に出されており、この一作の他に同シリーズ…

『毒百合』 橋本埋木庵

毒百合:橋本埋木庵 1915年(大4)樋口隆文館刊、前後終全3篇。 二つの筋が織り交ぜになった構成になっている。一つは美人の毒婦の半生記、もう一つは富豪商家の身上の乗っ取りを図る男の悪知恵の成功談である。幼い孤児は出会った大人の後を付き従うこと以…

『少年探偵長』 海野十三

少年探偵長:海野十三 1948年(昭23)12月~1949年(昭24)11月、雑誌「東光少年」連載。 1954年(昭29)東光出版社刊。 1960年(昭35)ポプラ社刊、少年探偵全集第3巻。 1967年(昭42)ポプラ社刊、名探偵シリーズ第6巻。 海野十三(じゅうざ)の絶筆となっ…

『夜の門』 川口松太郎

夜の門:川口松太郎 1949年(昭24)日比谷出版社刊。 ヒロインの章子はエミー野口という芸名で上海のキャバレーの楽団でヴァイオリン奏者兼歌手として働いていた。終戦となって、在留していた日本人はすべて喪失感に囚われ、虚無的に生きるしかなかった。男…

『世界名探偵苦心録』 安東鶴城 訳編

世界名探偵苦心録:安東鶴城 1913年(大2)フース・フー・イン・ジャパン社刊。 20世紀初頭における米英を中心とした警察機関で活躍した実在の名探偵たちの事例集。底本としては当時の「ポリス・ストーリーズ」などとして発行されていた実話雑誌の記事から…