明治大正埋蔵本読渉記

明治大正期の埋もれた様々な作品を主に国会図書館デジタル・コレクションで読み漁っています。

2023-08-01から1ヶ月間の記事一覧

『女の一生』 田村泰次郎

女の一生:田村泰次郎 1956年(昭31)大日本雄弁会講談社刊。講談社ロマンブックス、上下2巻。 1953年(昭28)9月~1956年(昭31)5月 雑誌「婦人生活」連載。 『女の一生』というタイトルには、「この人生って何だったんでしょうね?」と自問するヒロイン…

『敵打日月双紙』 三上於菟吉

敵打日月双紙:三上於菟吉 1935年(昭10)平凡社、大衆文学名作選 第3巻所収。 1941年(昭16)博文館文庫(第2部 22-23) 所収。 (かたきうち・にちげつそうし)江戸時代までの仇討ちは、殺された親の仇を子供が藩主の許可を取り付けて竹矢来の場で果し合い…

『ダルタニャン色ざんげ』  クルティル・ド・サンドラス 小西茂也・訳

ダルタニャン色ざんげ:小西茂也 1950年(昭25)河出書房刊。 1955年(昭30)河出書房、河出新書32 作者のガティアン・ド・クルティル・ド・サンドラス(Gatien de Courtilz de Sandras, 1644~1712)は、ブルボン王朝時代のフランスの軍人であり、文筆家で…

『皿屋敷:新説怪談』 芳尾生

皿屋敷:新説怪談 芳尾生 1913年(大2)『皿屋敷』と『後の皿屋敷』の全2巻、樋口隆文館刊。 有名な怪談「皿屋敷」の「いちまぁ~い、にまぁ~い」の話かと思って読みだしたが、中身はまったくホラー味のない下剋上の謀反史談だった。もともと姫路の「播州…

『広島悲歌』 細田民樹

広島悲歌:細田民樹 1949年(昭24)世界社刊。 1949年(昭24)10月、雑誌「富士」掲載:『美しき大地』(中間部) 1949年(昭24)11月、雑誌「富士」掲載:『山河の歌声』(終末部) 被爆直後の広島とそこに暮らす人々の惨状に直接触れながら、その核兵器使…

『華族令嬢愛子:探偵実話』 菱花生

人情世界 (1901) 1901年(明34)3月~10月 雑誌「人情世界」連載、日本館本部発行 華族令嬢愛子2 明治後期の読物雑誌「人情世界」(旬刊)に長期間にわたって連載された構想の大きい探偵活劇。地の文は美文調の文語体、会話は口語体という、言文一致体の定着…

『清き泉を掘らん』 芹澤光治良

清き泉を掘らん:芹澤光治良 1951年(昭26)4月~1952年(昭27)4月、雑誌「婦人生活」連載。 1954年(昭29)北辰堂刊。 抽象画を学ぶ画家の卵の青年とその友人の哲学科の学生、その妹のフランス語教師、そして音大生を目指す娘という男女二組を中心にした恋…

『六つの悲劇』 山岡荘八

六つの悲劇:山岡荘八 1949年(昭24)1月~12月、雑誌「富士」連載。 1955年(昭30)東方社刊。 山岡荘八(1907~1978) は大著「徳川家康」「織田信長」をはじめとする歴史小説家として知られているが、人物伝や現代小説でも非常に多くの作品を残した。 この…

『風吹かば吹け』 大林清

風吹かば吹け:大林清 1950年(昭25)4月~1951年(昭26)12月、雑誌「新婦人」連載。 1954年(昭29)東京文芸社刊。装丁は風間寛。 冒頭の戦争末期、昭和19年の別荘地軽井沢での作中人物の登場の仕方を読むと、その性格設定が「風と共に去りぬ」の人物像を…

『折れた相思樹』 富澤有為男

折れた相思樹:富澤有為男 1950年(昭25)1月~1952年(昭27)6月 雑誌「富士」連載。2年半、30カ月に及ぶ。 1952年 講談社刊。(傑作長編小説全集第21巻所収) 富澤有為男(ういお)(1902~1952) は作家であると共に帝展に入選するほどの実力のある画家でも…