明治大正埋蔵本読渉記

明治大正期の埋もれた様々な作品を主に国会図書館デジタル・コレクションで読み漁っています。

2024-02-01から1ヶ月間の記事一覧

『窓』 山本禾太郎

窓:山本禾太郎 1929年(昭4)改造社、日本探偵小説全集第17篇所収。(4篇) 1928年(昭3)平凡社、現代大衆文学全集、第35巻所収。(2篇) 山本禾太郎(のぎたろう、1889~1951)は「新青年」に『窓』が入選したのを機に作家活動に入った。戦前期における…

『呪いの塔』 横溝正史

呪ひの塔:横溝正史 1932年(昭7)新潮社、新作探偵小説全集第10巻所収。 軽井沢に設定された空間迷路の観光施設「バベルの塔」が舞台。雑誌社の社員由比耕作は人気ミステリー作家の大江黒潮から別荘に招かれる。そこに出入りする人々にはそれぞれ入り組んだ…

『時代の霧』 竹田敏彦

時代の霧:竹田敏彦 1937年(昭12)3月~11月、読売新聞連載。 1939年(昭14)大都書房刊。 モダニズム文化の活況を呈していた昭和初期から日中戦争の暗い影が世相に及ぼし始める時代に、若い二組の男女の恋愛曲線が互いに交叉し、変容していく様を描いてい…

『伊達騒動』 沙羅双樹

伊達騒動:沙羅双樹 1954年(昭29)6月~1955年(昭30)1月、東京日々新聞連載。 1955年(昭30)同光社出版刊。 自分の育った郷里の歴史上の事件として有名であり、見過ごせないと思っていた。事件を取り扱った類書は数多あって、山本周五郎の「樅ノ木は…」…

『頭の悪い男』 山下利三郎

日本探偵小説全集:改造社版、第15篇(山下・川田集) 1930年(昭5)改造社、日本探偵小説全集 第15篇(山下利三郎・川田功集)14篇所収 1928年(昭3)平凡社、現代大衆文学全集 第35巻 新進作家集 4篇所収 山下利三郎(1892~1952)は大正後期の雑誌「新青…

『浮れてゐる「隼」』 久山秀子

隼の勝利:久山秀子 1928年(昭3)平凡社、現代大衆文学全集 第35巻 新進作家集 6篇所収。 1929年(昭4)改造社、日本探偵小説全集 第16篇(浜尾・久山集)15篇所収。 久山秀子は「隼のお秀」と呼ばれる女掏摸(スリ)であり、何人もの手下を抱えている。身…

『岩見重太郎』 柴田南玉

岩見重太郎:柴田南玉 1902年(明35)求光閣刊。 1910年(明43)春陽堂、家庭お伽話第27篇所収。 岩見重太郎は怪力無双の剣客として江戸時代から講談や絵草紙で親しまれてきた人物である。明治の講談筆記本はこの本だけに限らず、多くの演者によって出されて…

『影人形~釘抜藤吉捕物覚書』 林不忘

影人形~釘抜藤吉捕物覚書:林不忘 1955年(昭30)同光社刊、11篇所収。 1928年(昭3)平凡社、現代大衆文学全集第25巻新進作家集に5篇所収(うち4篇は重複) 最初は大正14年3月から雑誌「探偵文芸」で連載が開始された。岡本綺堂の「半七」ばりの江戸情…