2023-10-01から1ヶ月間の記事一覧
因果華族:安岡夢郷 1917年(大6)大川屋書店刊、みやこ文庫第1編「因果華族」 1918年(大7)大川屋書店刊、みやこ文庫第2遍「馬丁丹次」 1918年(大7)大川屋書店刊、みやこ文庫第3編「雪見野お辰」 探偵活劇と悲劇小説をミックスしたような物語構成…
自殺博士:大下宇陀児 1959年(昭34)同光社出版刊。 1956年(昭31)5月、雑誌「小説倶楽部」増刊号再録「走る死美人」 風采の上がらない元警察署長の私立探偵・杉浦良平と助手の影山青年の活躍する短篇シリーズから6篇を収める。いずれも戦前から戦中にか…
江戸っ子八軒長屋:林二九太 1956年(昭31)桃源社刊。 1955年(昭30)7月~12月、雑誌「読切俱楽部」連載。 林二九太(はやし・にくた、1896~ ? ) は当初劇作家として活躍したが、戦中から戦後期にかけてはユーモア作家として多くの作品を残した。この作品…
鉄仮面:江戸川乱歩 1940年(昭15)博文館刊。久生十蘭・訳。 1938年(昭13)大日本雄弁会講談社刊。江戸川乱歩・訳。 フランス史における「鉄仮面」の史実はルイ14世時代の奇妙な謎としてデュマやボアゴベをはじめ多くの作家たちの創作欲を搔き立てた。名…
鞍馬天狗・新東京絵図:大佛次郎 1947年(昭22)1月~1948年(昭23)5月 雑誌「苦楽」連載。 1948年(昭23)大日本雄弁会講談社刊。 倒幕が成就し、明治維新となった直後の鞍馬天狗の後日譚。江戸は東京と改称され、徳川家は駿府に移り、旗本・御家人の多く…
紫被布のお連:橋本埋木庵 1903年(明36)金槇堂刊。前後2巻。 タイトルの「被布」(ひふ)とは現代人には馴染みが薄いが、和装用語、高貴な婦人の和服の上にはおる上衣のようなもの。(画像参照) 被布 huaban.com これも探偵実話の一つで、明治中期、東京…
姿なき怪盗:甲賀三郎 1932年(昭7)新潮社、新作探偵小説全集 第3巻。 1956年(昭31)河出書房、探偵小説名作全集 第2巻。 「怪盗」というよりも「怪人」だろう。盗み程度では済まない、平気で次々に殺人を企てる鬼畜の犯人だ。敏腕記者がやっと取れた休…
キリストの石:九鬼紫郎 1960年(昭35)日本週報社刊。 1963年(昭38)新流社刊。「女と検事」に改題。 タイトルは新約聖書の話から来ている。罪を冒した女を石打ちの刑にしようとする所で、キリストが、自身に罪を持たない人間だけがそれを行なえるのだと諭…
新聞小説史(明治篇):高木健夫 1970年(昭45)4月~1973年(昭48)12月、雑誌「新聞研究」連載、全45回。 1974年(昭49)国書刊行会刊。 国会図書館デジタル・コレクションでは、雑誌「新聞研究」に連載されていたので、毎日1号ずつ読むのが楽しみとなっ…
青鷺の霊:土師清二 1928年(昭3)朝日新聞社刊。 1955年(昭30)和同出版社刊。 青鷺の霊:土師清二2 タイトルは中身とほとんど無関係だった。江戸中期の仇討ちをめぐる群像劇。一方で親の仇を探して東海道を旅する浪士の阿部豊之助主従がいる。そして彼ら…
江川蘭子:江戸川乱歩 他5人 1931年(昭6)博文館刊。(頁の損耗および落丁あり) 1947年(昭22)探偵公論社刊。 長篇連作探偵小説と銘打ってのリレー形式の作品。①江戸川乱歩、②横溝正史、③甲賀三郎、④大下宇陀児、⑤夢野久作、⑥森下雨村という昭和初期の第…