明治大正埋蔵本読渉記

明治大正期の埋もれた様々な作品を主に国会図書館デジタル・コレクションで読み漁っています。

『白鬼屋敷』 高木彬光

白鬼屋敷:高木彬光

1958年(昭33)桃源社刊。

江戸の荒れ果てた屋敷に隠された海賊の財宝をめぐる伝奇小説。口入れ屋の津乃国屋に寄食する浪人神崎安兵衛は夜道で若い女を黒頭巾の男から救う。女の身元は不明のまま、その懐中に持っていた二枚の黄金銭が多くの勢力から狙われているのに気づく。商人に身をやつした大泥棒、悪知恵の旗本、幻術使いの美剣士、妖艶な女賊、八丁堀の与力など大勢が入り乱れる争奪戦となる。その相関図だけでもかなり入り組んでいた。からくり屋敷の仕掛けのネタは伝奇小説に頻繁に使われるが、大抵は抜け穴とか地下牢など月並みな効果しか出てこない。この作品では主人公の剣の腕前が優れてはいるものの、敵方も相当な実力で予断を許さないという緊迫感があった。☆☆

 

国会図書館デジタル・コレクション所載。個人送信サービス利用。

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