2024-03-01から1ヶ月間の記事一覧
青春売場日記:獅子文六 1937年(昭12)春陽堂、新作ユーモア全集 第10巻所収 獅子文六(1893~1969)の中篇「青春売場日記」を中心とするユーモア小説の中短編集。昭和初期の東京でデパートの女店員(ヂョテさん)の採用試験に応募した二人の女性がふとした…
蘆江怪談集:平山蘆江 1934年(昭9)岡倉書房刊。 平山蘆江(ろこう)(1882~1953)についてはあまり語られることがない。記者作家として新聞社を転々として、演芸・花柳界の著作が多いが、歴史物、あるいは怪談物も知られている。 彼の文体は平静沈着な語…
火葬国風景:海野十三 1935年(昭10)春秋社刊。 海野十三(1897~1949)は昭和初期から終戦直後にかけて活躍したが、当初は探偵小説家としての作品が多かった。この一冊は単行本としての四番目の作品集で、表題作「火葬国風景」の他に8篇収められている。…
踊子殺人事件:武田武彦 1946年(昭21)岩谷書店、岩谷文庫10。 武田武彦という探偵小説作家の名前はあまり聞かなかったが、調べてみると終戦直後に創刊された雑誌「宝石」の編集にたずさわった人で、その合間に作品を書いていたようだ。デジタル版で岩谷文…
1929年(昭4)改造社、日本探偵小説全集 第16巻所収。 浜尾四郎の作家としての活動は6年間しかなかったが、その最初期の3作品を読んだ。 『悪魔の弟子』 片や裁判所の判事、片や殺人犯。獄中から少年期に兄のように慕っていた判事に宛てた長文の手紙のスタ…
慶安水滸伝(上巻):村上元三 1953年(昭28)1月~10月、時事新報、大阪新聞で連載。 1954年(昭29)大日本雄弁会講談社刊、上下2巻。 江戸初期の由井正雪の乱を記した史書「慶安太平記」は後世に講談や歌舞伎、絵草紙などに形を変えて取り上げられていた…
その名は女:大林清 1955年(昭30)1月~7月、中部日本新聞、西日本新聞に連載。 1955年(昭30)大日本雄弁会講談社刊。(ロマンブックス) タイトルの由来は、シェークスピアの「ハムレット」中のセリフ「弱き者よ、汝の名は女なり」だと思われる。事業の失…
君は花の如く:藤沢桓夫 1955年(昭30)7月~1956年(昭31)東京タイムス紙連載。 1956年(昭31)大日本雄弁会講談社刊。 1962年(昭37)東方社刊。 大阪の化粧品会社で働くヒロインの朝代には暗い過去があった。東京で男に翻弄される生活を断ち切るために単…