2022-03-01から1ヶ月間の記事一覧
1887年(明20)イーグル書房刊。ここでの「美少年」とは「好青年」のような概念であり、いわゆる「美男子」ではない。秩父の山村で育った2人の少年が東京に送り出されて高等教育を受けるが、一方は堅実に勉学に打ち込み、もう一方は怠惰で無軌道な生活を送…
1900年(明33)駸々堂刊。題名が面白そうだったので読み始めたが、結果的になぜ猫と付けたのか意味不明。事業投資や株式相場の浮き沈みで人生を翻弄された一家の話が中心となっているが、物語としての筋の組立て方があぶはち取らずで最低だった。途中で挫折…
1910年(明43)立川文明堂刊。大阪の版元、立川文明堂(たつかわ)は講談を青少年向けに書き下ろした「立川文庫」を明治末期から大正時代に200点ほど発行して一世を風靡した。その題材の源泉は玉田玉秀斎(3代目)が抱えていた。彼は関西で活躍した代表…
1917年(大6)文芸社刊。作者の青木緑園は脚本家出身だが、明治末期から大正にかけて、悲劇小説という恋愛物の通俗小説を多く書いた。前半の舞台は伯爵家が別邸を構える赤羽岩淵付近。当時はまだ小作農たちが貧しい暮らしを送る田舎だった。別邸で気ままに暮…
1887年(明20)イーグル書房刊。これもボッカチオ(ボッカス)の「デカメロン」からの一話を翻訳し、多少手を加えて中篇としたもの。菊亭静は、高瀬羽阜(うこう)の多くの筆名の一つとしてウィキペディアに掲載されている。彼はジャーナリストの他、社会事…
(えんおう=オシドリ)1887年(明20)高崎書房刊。ボッカチオの「デカメロン」中の一話を菊亭静(きくてい・しずか)が翻案、訳述したもの。西洋文学の翻訳としては維新後早い方に当たる。飛びぬけた美女が裕福だがとてつもなく醜い男とやむを得ず結婚して…
1906年(明39)春陽堂刊。前後2巻。池雪蕾(いけ・せつらい)訳。原作者は英国の小説家ウィリアム・ル・キュー (William Le Queux, 1864-1927)、 父親がフランス人だった。出版当時はなぜか「ラ・キューズ」と表記された。原題は「仮面」(マスク Mask)ロ…
1903年(明36)駸々堂刊。国会図書館デジタル・コレクションhttps://dl.ndl.go.jp/ ではキーワード検索すると、多くの関連文献が表示される。さらにそれを NDC分類(9類文学)で絞り込むと、読みたくなりそうな小説類が出てくる。その一覧表を保存しておい…
1909年(明42)大学館刊。 作者の星塔小史(せいとう・しょうし)は生没年ほかも全く不明。明治後期に大学館から出された「奇絶快絶文庫」というシリーズ全8巻の著者で、この小説を含めその他数点を残しているのみなので、この版元のために一時的に筆名とし…
1893年(明26)春陽堂刊。探偵小説第9集。これも尾崎紅葉の硯友社に版元の春陽堂が持ち込んだ企画、つまり第一線の文筆家に匿名で探偵小説を書いてもらうシリーズの一つだった。作者哀狂坊の名前もこれ1冊だけで、本当は誰なのかは不明のままとなった。文…
(なさけのひと)1905年(明38)隆文館刊。明治の後期になると女性の社会進出への意識が高まり、女性の生き方を主題とする「家庭小説」というジャンルの作品が多く書かれるようになった。田口掬汀(きくてい)もそうした作家の一人である。表題作の中篇「情…
(ぴすとる)1896年(明29)金桜堂刊。妻子を置き去りにして蒸発した男・横瀬は7年後に金持ちになって米国から帰ってきた。妻の実家を訪ねると年老いた義父と自分の息子だけがいて、妻は死んでいた。彼は弁護士の友人と東京に行き、ある実業家の邸宅を訪ね…
1925年(大14)樋口隆文館刊。前後2巻。作者の篠原嶺葉(れいよう)は尾崎紅葉・硯友社の門人と考えられるが、生没年とも不明。明治・大正期に活躍した通俗作家とされている。尾崎紅葉の「金色夜叉」をモデルにした便乗作と言ってしまえば簡単だが、文章は…
(だっきのおひゃく)1997年(明30)金桜堂刊。前後2巻。初代桃川如燕(じょえん)の口演を速記した講談本。1月から断続的に2カ月かけて通読した。姐妃(だっき)とは古代中国の殷王朝の王妃の姐己といい、その容色で王朝を滅亡させたと言われる人物。江…
1893年(明26)春陽堂刊。探偵小説第11集。明治の文豪が書いた探偵小説ということで目を通すことにした。言い尽くされた感想になるだろうが、読書記録なので・・・ この発表当時、鏡花は19歳だった。2年前に尾崎紅葉に弟子入りして後、この年から処女作を…