明治大正埋蔵本読渉記

明治大正期の埋もれた様々な作品を主に国会図書館デジタル・コレクションで読み漁っています。

ミステリー

『白猫別荘』 北村小松

白猫別荘:北村小松 1948年(昭23)新太陽社九州支社刊。 怪奇小説集と銘打った短編集全9篇を収める。終戦直後の刊行で版組や用紙が粗悪のため、印字も不鮮明で読みにくい。怪奇趣味というよりも、人間心理の奥底にある不可解なものを完全には否定も肯定も…

『黒壁』 水上勉

黒壁:水上勉 1961年(昭36)1月~11月、雑誌「新週刊」連載。 1961年(昭36)12月、角川書店刊。 1963年(昭38)角川小説新書。 黒壁:水上勉2 (こくへき)山伏信仰で知られる熊野川流域での殺人事件。電力開発工事の監督官庁の敏腕課長が現地への出張中に…

『犯罪の足音』 岡田鯱彦

犯罪の足音:岡田鯱彦 1958年 光風社刊。 1963年 青樹社刊(青樹ミステリー) 岡田鯱彦(しゃちひこ)は国文学者で、古典に題材を求めたミステリー作品もある。これは戦後期に書かれた現代物の一つである。 結核に感染した大学一年生の青年が、病後の療養の…