明治大正埋蔵本読渉記

明治大正期の埋もれた様々な作品を主に国会図書館デジタル・コレクションで読み漁っています。

『隠密一代男:捕物秘帖』 佐々木味津三

隠密一代男:佐々木味津三

1942年(昭17)蒼生社刊。

1934年(昭9)非凡閣、新選大衆小説全集 第15巻所収。『隠密一代男』

1934年(昭9)平凡社佐々木味津三全集 第8巻所収。『神風時雨組』

 

『隠密一代男』の通しタイトルで公儀隠密薬師寺大馬とその配下弁次、六太が加賀百万石の城下と、京都所司代の奇妙な裁定の謎を解く捕物帖風の2篇。米国で言えばFBI に該当したかも。3人組のタスクフォースとして意気が合っているが、全体的に武家の体面維持という落し所を探る恰好付けが気障りだった。

 

隠密一代男:佐々木味津三2

『隠密青葉城』は「旗本退屈男」の一篇で伊達藩に入り込んだ隠密を支援する話。ヒーローも完璧さが過ぎると鼻につく。

『神風時雨組』は尾張藩に幽閉された若君を救出しようと画策する浪士たちを描く中篇。これもタスクフォース型だが、その行動の根底にあるものの意味が不明瞭。すべてが骨折り損の虚無感を感じた。☆

 

国会図書館デジタル・コレクション所載。個人送信サービス利用。

https://dl.ndl.go.jp/pid/1052406

https://dl.ndl.go.jp/pid/1217847/1/273

https://dl.ndl.go.jp/pid/1236501/1/192

挿絵作者は不詳。

 

 

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