明治大正埋蔵本読渉記

明治大正期の埋もれた様々な作品を主に国会図書館デジタル・コレクションで読み漁っています。

『剥製人間』 香山滋

剥製人間:香山滋

1949年(昭24)7月~9月 雑誌「富士」連載。(初出時は『女體剥製』)

1948年(昭23)10月~11月 雑誌「富士」連載。『恐怖の仮面』

1955年(昭30)東方社刊。

 

東方社の単行本には表題作『剥製人間』と『恐怖の仮面』の中篇2作と短篇4作を所収。香山滋(かやま・しげる)(1904-1975) の作風には幻想味に妖艶味が加わった独特の魅力がある。

表題作の『剥製人間』のタイトルは初出時には『女體剥製』だったが、そのままのほうがよかったようにも思う。銀座のバーで働くヒロインは気まぐれから、ふと思い立って水上温泉の知り合いの宿に列車で向かう。向かい側に座った若い男から、山中の別邸である女になりすます演技をするよう頼まれる。その夜の宿で入れ替わる女と会ってみると、自分と瓜二つであることに驚く。そして次の日から互いの人生に入り込んだ生活が始まる。語り口に物語に引き込む不思議な力があった。☆☆☆

彼は「ゴジラ」の原案の作者でもあり、短篇中には『女怪の島』などの神獣の出現するものや南洋の島々での冒険譚も多い。 

 

 

国会図書館デジタル・コレクション所載。個人送信サービス利用。

https://dl.ndl.go.jp/pid/3561669/1/9

https://dl.ndl.go.jp/pid/1342981

雑誌の挿絵は「女体剥製」が中野淳、「恐怖の仮面」が中一弥。

恐怖の仮面:香山滋

 

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