明治大正埋蔵本読渉記

明治大正期の埋もれた様々な作品を主に国会図書館デジタル・コレクションで読み漁っています。

『風雲将棋谷』 角田喜久雄

風雲将棋谷:角田喜久雄

1939年(昭14)大日本雄弁会講談社刊。

1950年(昭25)矢貴書店、新大衆小説全集 第6巻 角田喜久雄編所収。

 

角田喜久雄出世作の一つ。何度も映画化されていた。将棋谷とは信州飯田の山奥の隠れ里だが、蝦夷の民の一部が移り住んだという。村人はこぞって将棋を好んだが、その村に眠る秘宝をめぐって争う人間たちを描く。蠍道人、女侠客、お尋ね者の雨太郎、岡っ引の佛の仁吉とその娘お絹、そして将棋谷から江戸に出てきた朱美と龍王太郎。よく考えてみると荒唐無稽な設定であり、展開なのだが、個々の思惑と欲望の絡み合いが読む者を引きつける。伝奇小説の典型だと思った。☆☆

 

風雲将棋谷:角田喜久雄2

国会図書館デジタル・コレクション所載。個人送信サービス利用。

https://dl.ndl.go.jp/pid/1708094/1/70

口絵は志村立美、挿絵は山崎百々雄。