明治大正埋蔵本読渉記

明治大正期の埋もれた様々な作品を主に国会図書館デジタル・コレクションで読み漁っています。

『実説古狸合戦:四国奇談』 神田伯龍

 

1910年(明43)中川玉成堂刊。四国徳島に伝わる狸合戦の話を神田伯龍が講談の形で演じたものの筆記本である。江戸時代までは狐狸と人間との化かし合いなどが多く語られていたが、狸の二大勢力の合戦を擬人的に描写し、細かに記録した物は極めて珍しい。主人公の金長(きんちょう)狸は現在でも明神として祀られている。伯龍の語り口は聞いている分には丁寧だが、それを文章で読むにはやや回りくどい感じもする。☆☆

 

国会図書館デジタル・コレクション所載。口絵は鈴木錦泉。(ARC浮世絵ポータルデータベース)

dl.ndl.go.jp

 

実際には続篇が2冊「津田浦大決戦」と「日開野弔合戦」があって、伯龍の口演で刊行されており、国会図書館デジタル・コレクションでも読むことができる。これを現代口語文に書き換えて全文を掲載しているサイトも存在する。徳島県郷土史愛好家の方と思われる。

※ 実説古狸合戦 四国奇談(金長狸講談)

https://kincho.web.fc2.com/index.html

 

阿波狸合戦 (wikipedia)

ja.wikipedia.org

 

平成狸合戦ぽんぽこ (wikipedia)=ジブリ映画で有名だが、モティーフの源泉になっていると思われる。

ja.wikipedia.org

 

 

 

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