明治大正埋蔵本読渉記

明治大正期の埋もれた様々な作品を主に国会図書館デジタル・コレクションで読み漁っています。

『青春売場日記』 獅子文六

青春売場日記:獅子文六

1937年(昭12)春陽堂、新作ユーモア全集 第10巻所収

 

獅子文六(1893~1969)の中篇「青春売場日記」を中心とするユーモア小説の中短編集。昭和初期の東京でデパートの女店員(ヂョテさん)の採用試験に応募した二人の女性がふとしたことで仲良しになる。二人とも難関を突破して合格するが、一人は男爵家の令嬢、もう一人は貧しい母子家庭の娘で、どちらも女店員の規律やしきたりに当惑しながらも職場に順応していく。物語は一人の青年をめぐって二人の間で揺れ動く恋愛感情の混戦模様が描かれているが、女性の社会進出が広がりを見せ始めた時代の作者の明朗で優しい眼差しが感じられた。☆☆

 

青春売場日記:獅子文六2

国会図書館デジタル・コレクション所載。個人送信サービス利用。

https://dl.ndl.go.jp/pid/1255557

表紙絵・挿絵は田中比佐良。

青春売場日記:獅子文六3

 

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