1920年(大9)大川屋書店刊。八千代文庫79。江戸時代、仙台藩白石で実際にあった仇討ち話。孝子堂という史跡もある。私事ながら幼少期を過ごしたこの小都市で、見聞きしていた話の詳細をこの年齢になって初めて読んで感動した。農民の父親を武士に斬殺された姉妹二人の物語で、女ながらに由井正雪に武芸を学び、鍛錬して仇討ちを本懐したという。明治大正期に盛んに出版された講談速記本の一つで、言文一致体の完成過程を実感できて読みやすい。浄瑠璃を含め江戸期の絵草紙や実録本でも十指に余る類書がある。☆☆☆☆
国会図書館デジタル・コレクションで閲覧。口絵は鈴木綾舟(朱雀)。