1957年(昭32)9月~1958年(昭33)5月 雑誌「読切俱楽部」連載
1958年(昭33)東京文芸社刊。「女自雷也」「魔像往来」「妻恋坂の決闘」など7篇所収。
高木彬光の剣客物の時代小説。江戸の両国橋の袂で自分の命を売るという商売をする浪人・青貝進之丞は目に留まらぬ早業の剣の使い手である。話を切り出す依頼人はいずれも何らかの企みを抱いており、進之丞をうまく言いくるめて加担させようとする。単なる殺しの請負では何の面白味もない。その騙しのからくりを読み解くのが話の本筋になる。それにしても簡単に人を斬殺してしまうのはあまり気味のいい感じはしない。いかに人生に対して虚無的であれ、人が生き続けるにはどこかに甲斐性が見えなければと思ってしまう。☆
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https://dl.ndl.go.jp/pid/1646654/1/3
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雑誌連載の挿絵は、第1作が成瀬一富、第2作が小日向一夢、それ以降が岡崎武彦。