明治大正埋蔵本読渉記

明治大正期の埋もれた様々な作品を主に国会図書館デジタル・コレクションで読み漁っています。

『青い星の下で』 藤沢桓夫

1957年(昭32)10月~1958年(昭33)12月、雑誌「読切俱楽部」連載。

1959年(昭34)東方社刊。

 

 

 藤沢桓夫(たけお)(1904~1989) は昭和初期には新感覚派の作家として知られた。戦後期を経て昭和の末まで大阪を基点に多くの小説作品を残した。

 この作品も大阪の街を舞台としているが、あまり浪速の人情臭さなどは感じられず、むしろスマートな青年男女の恋と冒険の物語となっている。ならず者の生活を送る男が幼少期の友人宅を何年かぶりで不意に訪れたことから話が始まる。さらに実業家の御曹司ながら自身はタクシーの運転手をして暮らす正義感に満ちた青年の行動など、筋運びの巧みさに乗せられながら楽しく読むことができた。☆☆☆

 

国会図書館デジタル・コレクション所載。個人送信サービス利用

https://dl.ndl.go.jp/pid/1358344

雑誌連載時の挿絵は下高原健二。

 

 

 

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