明治大正埋蔵本読渉記

明治大正期の埋もれた様々な作品を主に国会図書館デジタル・コレクションで読み漁っています。

『世界名探偵苦心録』 安東鶴城 訳編

世界名探偵苦心録:安東鶴城

1913年(大2)フース・フー・イン・ジャパン社刊。

20世紀初頭における米英を中心とした警察機関で活躍した実在の名探偵たちの事例集。底本としては当時の「ポリス・ストーリーズ」などとして発行されていた実話雑誌の記事から収集したように思われる。事件捜査の経過を手際よくまとめているが、よくイラストで見るような尾頭付きの魚の骨を連想した。つまり肉付けがない事件の骨子でしかなく、推理小説との大きな差異を実感した。小説ならば事実の羅列ではない何か、物語としてのふくらみ、紆余曲折、あるいは人間ドラマが盛り込まれている。実例集としては興味深かったが、新聞や週刊誌の記事のような感触だった。☆

世界名探偵苦心録:安東鶴城2

国会図書館デジタル・コレクション所載。

https://dl.ndl.go.jp/pid/907410

挿絵は作者不詳。

 

 

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