明治大正埋蔵本読渉記

明治大正期の埋もれた様々な作品を主に国会図書館デジタル・コレクションで読み漁っています。

『幽霊の手引:怪談百物語』 高山怨縁

幽霊の手引:高山怨縁

1917年(大6)大川屋書店、怪談百物語第6巻。

作者高山怨縁(おんえん?)については生没年を含め、まったく情報がない。大川屋書店の企画で『怪談百物語』という怪奇物のシリーズ本が大正期に出されており、この一作の他に同シリーズの中に三作書いている。軽快な語り口で読物本の専属作家だったと思われる。「幽霊の手引」とは「亡霊の指図」を受けて悪事を露見させる結末のことだが、古くは「ハムレット」の父王の亡霊にも通じる。書き方は木目が粗く、怪奇話とお家騒動、宝探しの冒険という三つの要素が混在し、肉付けによっては長篇物になりうる素材に面白味があった。他に狒々退治の武勇伝と民間伝承風の白蛇の怨念話を併載。☆

 

幽霊の手引:高山怨縁2

国会図書館デジタル・コレクション所載。

https://dl.ndl.go.jp/pid/905086

口絵は作者不詳。

 

怪談百物語:大川屋出版