1949年(昭24)1月~ 雑誌「少年世界」連載。
香山滋は大蔵省の役人だったが、戦後になって40歳を越えてから作家活動に入った。古生物学を独学で修めたため、恐竜や怪獣が登場する作品が多い。
この作品は少年向けの雑誌「少年世界」に連載された。絶滅した恐竜が未だに生存する島があるはずだと信じる少年真理夫は、探検家の川島博士に誘われて怪龍島へ探検の旅に出る。博士はパラオとサモアの間にある地図にない島を目指すが、詳しい話をしようとしない。連れていた小人族の男から島の場所を聞き出し、上陸する。小さな島のはずなのに大河や草原や大密林があったりで、コナン・ドイルの『失われた世界』(Lost World) に酷似していた。苛酷な環境下で次々に困難に見舞われ、体力の限界に達しながらも真理夫たちの冒険は続く。肝心の恐竜たちも登場するが、それほどの脅威ともならず、むしろ原住民の部族間の抗争など、普通の密林物の話に重心が行ったのは少々物足りなかった。☆
国会図書館デジタル・コレクション所載。個人送信サービス利用。
https://dl.ndl.go.jp/pid/12493380
カバー絵および挿絵は飯塚羚児(いいづか・れいじ)。
『剥製人間』 香山滋 (2023.07.22)