鹿島桜巷
1905年(明38)大学館刊。鹿島桜巷(おうこう)の最初期の著作と思われる。地の文は文語体で格調が高い。怪奇小説仕立ての探偵小説。松戸市郊外の河原塚に建つ怪しい邸宅をめぐる探奇譚である。この家に住む叔母夫婦を訪ねて来た書生の主人公は、その家が少…
1905年(明38)大学館刊。序文でドイツの小説からの翻案であると明言している。言文一致体への移行が盛んに行われていた時期ながら、旧来の文語体表記で書かれている。「~たり」「~けり」「~なり」など格調は高いけれども、鹿島桜巷(おうこう)の語り口…
1915年(大4)樋口隆文館刊。前後2巻。立て続けに鹿島桜巷を読むことになった。泥鼈(スッポン)のお仙、児雷也阿国、萬引お豊の三人の女賊のオムニバス風物語。一見美人の若妻でスリに見えないお仙は、大阪で相手の鞄に入っていた泥鼈に左小指を食いちぎら…
1914年(大3)樋口隆文館刊。前後2巻。作者の鹿島桜巷(おうこう)についてはなぜか文学関係の事典などで触れられず、その業績についても明らかにされていない。茨城県の鹿島神宮の宮司の三男として生まれ、地元紙を経て、報知新聞の記者の傍ら小説を書き…