明治大正埋蔵本読渉記

明治大正期の埋もれた様々な作品を主に国会図書館デジタル・コレクションで読み漁っています。

『宙に浮く首』 大下宇陀児

 

1948年(昭23)自由出版刊。表題作のほか、中篇の『火星美人』と3つの短篇を収める。『宙に浮く首』は信州の田舎の村の銭湯での殺人事件から端を発する。表紙に「スリラー小説集」と銘打って出版された通り、犯行の異常さや残虐さが強い印象を与えるが、ほとんどが行動描写で、事件に付随する事象に振り回される感じがする。この作家の特徴として真犯人が悔悟して事件の真相を語る場面が多い。読後感はいまひとつ。☆

 

国会図書館デジタル・コレクション所載。個人送信サービス利用。

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