1959年(昭34)新年号~1960年(昭35)12月号、雑誌『読切倶楽部』連載。
1961年(昭36)桃源社刊。
雑誌連載当時から絶大な人気を誇った『十六文からす堂』シリーズは1953年から1965年までの延べ13年間にわたって掲載された。その都度単行本にまとめられて出版され、今回で読むのは5冊目となった。「大和屋の娘」、「怪盗あらわる」、「女からす堂」、「花の嵐」の中篇4作が入っている。いずれも連載半年で解決する。シリーズ物の気楽さとは、登場人物も時代背景も毎度おなじみの環境で、ヘタな事にはならないという暗黙の設定の安心感なのだろう。各エピソードにもどこか「既視感」や「前例への類似性」を感じてしまう。雑誌掲載時の挿画も楽しみの一つである。肩の凝らない読書となった。☆☆
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挿絵は成瀬一富、および木俣清史。