明治大正埋蔵本読渉記

明治大正期の埋もれた様々な作品を主に国会図書館デジタル・コレクションで読み漁っています。

『若い真珠』 小糸のぶ

1959年(昭34)1月~1960年(昭35)2月 雑誌「読切倶楽部」連載。

1960年(昭35)東方社刊。

 

小糸のぶ (1905-1995) は教職のあと、戦後昭和期の約20年間に恋愛・ロマンス作家として旺盛な活動をした。筆致にくせがなく、読む者にさわやかな印象を与える。この作品もまだ戦後復興期の東京を舞台に、映画会社の広報部に勤務するヒロインと有名会社の社長の御曹司との恋愛の芽生えから誤解と行き違い、そして逃避と再会までの愛の行方を描いている。ミステリーの要素も加味されている。国会図書館デジタル・コレクションでは雑誌の「読切俱楽部」も閲覧できるので、挿絵を味わいながら各月ごとに読み飛ばしができた。さらりとして読みやすい文体で、この時代の世相、風俗、人々の行動習慣など、直接経験した者でなくともどこか懐かしさ、親しみやすさを感じた。☆☆☆

 

国会図書館デジタル・コレクション所載。個人送信サービス利用。

https://dl.ndl.go.jp/pid/1647998

雑誌の挿絵は石原豪人

 

雑誌「婦人生活」1952年3月号掲載

 

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