1948年(昭23)12月号~1949年(昭24)8月号、雑誌「東光少年」連載。
1953年(昭28)偕成社刊。
終戦直後の昭和20年代には軍国主義の抑圧から解放されて、数多くの雑誌が出版された。少年少女向けの雑誌も同様で、この「東光少年」も国会図書館デジタル・コレクションで閲覧可能となっている雑誌の中から見つけ出したものである。昭和23年12月に創刊するも、戦後の物資不足、特に粗悪な紙、不鮮明な印刷などで、コンスタントな月刊誌とはなかなかならなかった。主力執筆陣には吉川英治、海野十三、富田常雄などが加わり、漫画はまだ少なく、挿絵による多くの読物を揃えていた。この時期に詩人の西條八十は詩作のほか、特に少女小説のジャンルで多くの作品を書いていたが、この作品は珍しく少年探偵物として連載された。人工ダイヤモンド造成の秘密を握る横星博士を狙う悪魔博士一味の策略、それを阻止する少年たちの活躍を明瞭な筆で描いている。☆
終戦直後における精神状況としては、敗戦で多くのものを失った大人たちから若い世代に対する大いなる期待を寄せる心情が伺える。同誌で西條八十は別途「日本の少年に寄せる」と題する詩の一節を下掲のように結んでいた。
国会図書館デジタル・コレクション所載。個人送信サービス利用
https://dl.ndl.go.jp/pid/10998153/1/34
https://dl.ndl.go.jp/pid/1625057
表紙絵および挿絵の作者は永松健夫。雑誌の挿絵は東えみ。