1942年(昭17)淡海堂出版刊。
1948年(昭23)講談社(小説文庫)
尾張の代官の御曹司として気ままに育ったように見える羅五郎は、付け人の呂之吉と共に代理で調停に出かけたが、その間に父親が冤罪で免職となる。それに対して一本気の正義心から、閉門破り、破牢、領外逃亡までに至る。しかし侍育ちの常識はその武家言葉とともに平民社会では通用せず、そのギャップが半可通のまぜ返しとして描かれる。落語の掛け合いにも通じる。この人を食ったようなナンセンス文学が戦時真っ只中の昭和17年に刊行されたのは興味深い。続編もあったが、一応読了とした。☆
国会図書館デジタル・コレクション所載。個人送信サービス利用。
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表紙絵および挿絵は山本武夫。