明治大正埋蔵本読渉記

明治大正期の埋もれた様々な作品を主に国会図書館デジタル・コレクションで読み漁っています。

『稲妻左近捕物帖』 九鬼紫郎(九鬼澹)

稲妻左近捕物帖:九鬼紫郎

1952年(昭27)同光社出版刊。

1950年(昭25)4月および12月、雑誌「富士」に2篇掲載。

 

探偵雑誌「ぷろふいる」の編集長を長年務めた九鬼紫郎が九鬼澹(たん)の名義で発表した南町奉行所同心の稲妻左近の活躍する捕物帖10篇を収める。捕物名人というふれ込みだが、あまり個性は目立たない。むしろ手下の岡っ引「脂下り(やにさがり)」の吉五郎の仇名の意味「得意がってキセルを上に向けてふかす姿」を思わせる恰好つけに妙味がある。トリックの組立てにやや苦しい事件もあるが、女っ気はない。篇中の「変貌伝」は南町奉行所内での事件で、当時の生活ぶりが感じられ、緊張感もあって充実していた。☆☆☆

稲妻左近捕物帖:九鬼紫郎2

国会図書館デジタル・コレクション所載。個人送信サービス利用。

https://dl.ndl.go.jp/pid/1642934

https://dl.ndl.go.jp/pid/3561689/1/57

単行本の装幀は鷹山宇一(1908~1999)、二科会で活動した洋画家で教科書の挿絵などにも関わっていた。

雑誌「富士」掲載時の挿絵は、鈴木朱雀と矢島健三。

 

稲妻左近捕物帖:九鬼紫郎3

 

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