明治大正埋蔵本読渉記

明治大正期の埋もれた様々な作品を主に国会図書館デジタル・コレクションで読み漁っています。

『悪魔の口笛』 高木彬光

悪魔の口笛:高木彬光

1952年(昭27)7月~1953年(昭28)7月、雑誌「少女世界」連載。

1960年(昭35)ポプラ社刊、少年探偵小説全集第4巻所収。

 

戦後創刊された少女向け雑誌「少女世界」に連載された。この時期は少年少女向けの読物の全盛時代であり、文豪も大衆作家も探偵作家もこぞって普通の作品の他に子供向けの物語を次々に書いていた。

高木彬光の生み出した名探偵神津恭介(かみつ・きょうすけ)がここでも活躍するが、謎解きよりも探偵活劇だった。離島に隠された海賊の秘宝の在りかを示す地図を追い求める謎の怪人Xの一味との抗争。その離島で育ったヒロインの少女は同居する叔母夫婦とともに危機にさらされる。乱歩の少年物に近い味わいがするが、プロットの骨組みや人物設定に甘さが目立った。☆

 

悪魔の口笛:高木彬光2

国会図書館デジタル・コレクション所載。個人送信サービス利用。

https://dl.ndl.go.jp/pid/10998151/1/101

https://dl.ndl.go.jp/pid/1639385

雑誌連載時の挿絵は日下香之助と牧秀人

昭35年ポプラ社版のカバー絵は牧秀人。挿絵は岩井泰三。





にほんブログ村 本ブログ 古本・古書へ