1951年(昭26)1月~1952年(昭27)1月、雑誌「富士」連載。
1956年(昭31)妙義出版刊、スマイルブックス『新説今昔物語』6篇所収。
今年の8月に読んだ連載物の残り半分を読了した。筆名風流隠士の石井哲夫については、この『好色譚』のあと、同じ雑誌「富士」に時代小説の連載物『半四郎風流帖』を3話だけ書いた後、消息を絶っている。もし物故していたとすれば惜しいことだと思った。(生没年等は不明)
西洋の艶笑譚は「デカメロン」以来の伝統があり、あけすけな色恋沙汰には日本の物よりもむしろ親近感を覚える。名前を阿土留夫(アドルフ)や町瑠陀(マチルダ)などの漢字名にしながらも、軽妙洒脱な語り口は素直に楽しめた。下掲に各話の題名を記すが、それぞれにオチの異なる面白さがあった。☆☆☆
国会図書館デジタル・コレクション所載。個人送信サービス利用。
https://dl.ndl.go.jp/pid/3561690/1/99
https://dl.ndl.go.jp/pid/1355101
雑誌連載時の挿絵は沢田正太郎。
①☆貞女かがみ(西)、②ノアの洪水(英)、③のどくらべ(独)、
④子宝百万弗(仏)、⑤☆深なさけ(伊)、⑥新婚旅行(仏)、
⑦☆二人貴公子(伊)、⑧休載、⑨☆尻まくり(仏)、⑩臆病男(英)、
⑪友情異変(独)、⑫古城の女(英)、⑬高慢おんな(仏)
☆川の中、☆落し物(独)(☆印は単行本に所収)
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『世界風流艶笑譚』 石井哲夫(風流隠士)